【冒頭まとめ】
✔ 咳が長引く、痰がからむ、呼吸がつらい…
✔ 特に寒い朝や夜に悪化するこの不調
✔ 原因は「冷え」と「腎の弱り」にあるかもしれません
✔ 中医学では「腎陽不足」と「寒痰阻肺」と考え、蘇子降気湯で整えるアプローチがあります
✔ 本記事では、蘇子降気湯のはたらきと体質に合った使い方を解説します
【あなたの咳、“冷え”と“腎”が関係している?】
「夜になると咳が止まらない」
「痰が白く粘って出しにくい」
「冷えると呼吸がしづらい」
そんな症状があるとき、中医学では「寒」と「腎陽(腎のエネルギー)」のバランスの崩れを疑います。
加齢や冷え、慢性的な虚弱によって“腎の火”が弱まると、
肺の機能も支えられず、痰や気逆(気の逆流)が起こりやすくなります。
それが【咳・痰・呼吸の苦しさ】として現れるのです。
【蘇子降気湯(平喘顆粒)とは?】
蘇子降気湯(そしこうきとう)は、
✔ 気を下げる(=気逆を抑える)
✔ 痰を除く(=化痰)
✔ 冷えを温める(=温腎化寒)
この3つのはたらきをあわせもつ漢方薬。
エキス製剤としては「平喘顆粒(へいぜんかりゅう)」
の名で販売され、慢性的な咳・痰・息切れのケアに用いられます。
【中医学的な適応】
蘇子降気湯の適応は以下の組み合わせの体質(証)です:
🟡 腎陽不足(じんようぶそく)
→ 加齢や冷えにより、下半身が冷え、元気が出ない、トイレが近いといった症状が出やすい
🟡 寒痰阻肺(かんたんそはい)
→ 冷えによってできた痰が肺にたまり、咳・痰・息苦しさにつながる状態
この2つが重なると、冷え性で虚弱な人にとって、咳や呼吸の不調が慢性化しやすくなります。
【こんな方におすすめ】
・白く粘る痰がからんで出しにくい
・朝方や夜間に咳が出やすい
・冷えると呼吸がしづらくなる
・手足や下半身が冷えやすい
・声がかすれやすく、疲れやすい
・トイレが近い、下半身の弱りを感じる
→ 特に50代以降の「冷え+虚弱」タイプにぴったりの処方です。
【配合されている主な生薬と働き】
生薬 | 主な働き |
---|---|
蘇子(そし) | 気を下げて咳を鎮め、痰を切る |
半夏(はんげ) | 胃を温め、痰を除き、つかえを改善 |
厚朴(こうぼく) | 気を巡らせ、胸腹部の張りを緩和 |
生姜(しょうきょう) | 身体を温め、寒を散らし、痰を化す |
桂皮(けいひ) | 腎陽を補い、体を温めて冷えを追い出す |
甘草(かんぞう) | 諸薬を調和し、のどの炎症をやわらげる |
→ 冷え・痰・腎虚をトータルに整える、バランスの取れた処方です。

【服用時の注意点】
蘇子降気湯は「寒」による咳や痰に向いています。
以下のような“熱の症状”がある場合は合いません:
❌ 痰が黄色くネバネバしている
❌ 顔がほてる、熱っぽい
❌ 口が乾く、のどが渇く
❌ イライラや不眠がある
→ こうした体質には、別の処方が必要です。
漢方薬は「体質に合うか」が何より大切。気になる方は専門家にご相談を。
【まとめ】
「咳が長引いている」
「呼吸がしづらくて疲れる」
そんな日々のつらさが、実は“冷え”と“腎の弱り”から来ているとしたら?
蘇子降気湯(平喘顆粒)は、
✔ 腎陽を補い
✔ 冷えを温め
✔ 痰と気逆を整える
そんな中医学らしいやさしい処方で、
毎日の呼吸を、少しずつラクにしてくれます。
呼吸は“命のリズム”。
無理せず、自分の体に合った方法で整えていきましょう。
