薄毛が気になる…髪と「腎」の関係

男性養生
― 中年男性のための、AGA×中医学 ―

はじめに:鏡の前でため息が増えたら

「最近、分け目が広がって見える」

「抜け毛が増えた気がする」
中年期は、仕事や家庭の責任が増える時期。

睡眠や栄養が乱れ、髪のサインに気づきにくくなりがちです。

私もそうでした…


薄毛は“見た目”だけでなく、自信・活力・パートナーシップにも影響します。
本記事では、

西洋医学(AGA)中医学(腎精・気血・肝鬱・湿熱)の両面から薄毛を整理し、

今日からできる整え方を紹介していきますね。


1|西洋医学でみる「薄毛」とは?

AGA(男性型脱毛症)

  • 男性ホルモン由来のDHT(ジヒドロテストステロン)が毛包に作用し、髪の成長期が短くなるタイプ。
  • 生え際・頭頂から徐々に進行。遺伝・年齢・生活習慣が関与。

AGA以外で見逃したくない要因

  • 甲状腺機能の異常(TSH”甲状腺刺激ホルモン”等の検査対象)
  • 鉄欠乏・亜鉛不足・たんぱく不足(フェリチン・亜鉛)
  • 円形脱毛症(自己免疫)
  • 脂漏性皮膚炎(フケ・赤み・かゆみ)
  • 薬剤性(一部の薬)や強いストレス

まずは皮膚科/AGA外来で「何が起きているか」を確認するのが近道です。


2|中医学でみる髪:髪は「血の余」、腎は“生命エネルギーの貯蔵庫”

中医学では、

髪=血の余(けつのよ)とされ、腎精(じんせい)が髪の根っこを養うと考えます。
さらに、気血の巡り、ストレス、体内の湿と熱の偏りが頭皮環境に現れます。

中年期は腎の消耗とストレス蓄積が重なりやすいのが特徴です。

主要パターン(セルフ把握の目安)

  1. 腎精不足(腎陰/腎陽の不足)
    • 髪が細く腰がない、白髪が増えやすい
    • 腰膝がだるい、夜間尿、疲れやすい
      → 年齢・過労で根っこのエネルギーが弱る
  2. 血虚(けっきょ)
    • 顔色が淡い、めまい、乾燥肌、爪が脆い
    • 髪がパサつく・抜けやすい
      → 血の原料不足(栄養・消化吸収の弱り)
  3. 気血両虚
    • とにかく疲れやすい・息切れ、持久力がない
    • 髪のボリューム低下+回復が遅い
      → 産生(気)も血(栄養)も足りない
  4. 肝鬱気滞(かんうつ きたい)
    • ストレスで頭皮がこわばる、ため息、胃脹満
    • たくさん抜ける日とマシな日の波がある
      → 自律神経の張りすぎ=巡りが滞り毛根に栄養届きにくい
  5. 湿熱(しつねつ)
    • ベタつき・フケ・かゆみ・赤み、ニオイが気になる
    • ライフスタイル:脂っこい食事、甘い/アルコール多め、夜更かし
      → 皮脂・炎症で頭皮環境が乱れ、抜け毛の土壌に

3|まずはここから:セルフチェック

  • 分け目や前髪が薄くなった/頭頂が透ける
  • フケ・かゆみ・ベタつき・赤みがある(湿熱)
  • ストレスで抜け毛が増減する(肝鬱気滞)
  • 眠りが浅い・夜更かし(腎の消耗)
  • 肉・卵・魚・豆の摂取が少ない/偏食(血虚・気血両虚)
  • 冷たい飲食・揚げ物・甘い物・深酒が多い(湿熱)
  • 腰膝のだるさ・夜間尿・疲れやすさ(腎精不足)

3つ以上で要ケア、5つ以上で専門相談+生活の本気見直しを。


4|改善の3本柱:皮膚科(西洋)× 生活 × 漢方(中医学)

4-1 皮膚科・AGA外来でできること(概要)

  • 外用ミノキシジル:血流サポート(継続が前提)。リアップなどがあります。
  • 5α還元酵素阻害薬(フィナステリド/デュタステリド等・処方薬):DHT(ジヒドロテストステロン)低下を通じて薄毛進行にブレーキ(適応・副作用説明と定期フォロー必須)
  • 頭皮炎症のコントロール:脂漏性皮膚炎には適切な外用剤

効果や安全性は個々で異なるため、医師の診察・定期検査とセットで考えましょう。

4-2 中医学アプローチ(体質別の処方例)

※以下は一例。自己判断ではなく専門家に相談を。

名称は代表処方で、製剤や体質により使い分けます。

  • 腎精不足/腎陽虚
    八味地黄丸, 参馬補腎丸 … 根っこの“火力”と活力を下支え
  • 腎陰虚寄り(乾燥・ほてり)
    六味地黄丸 … 潤いと陰を養い、消耗をセーブ
  • 血虚
    四物湯, 当帰芍薬散 … 髪の材料=血を養う
  • 気血両虚
    十全大補湯, 補中益気湯 … 産生(気)+栄養(血)を底上げ
  • 肝鬱気滞(ストレス主導):
    加味逍遙散, 香蘇散, 柴胡加竜骨牡蠣湯 … 巡り・緊張をゆるめる
  • 湿熱(ベタつき・炎症):
    竜胆瀉肝湯, 黄連解毒湯 … 熱と湿の偏りを掃除、頭皮環境を整える

中医学は重ね着のように体質が混在することが多く、問診・舌脈腹証で総合判断します。

4-3 食養生:髪の材料と土台を「毎日」足す

  • たんぱく質:肉・魚・卵・大豆(「毎食手のひら1枚」目安)
  • 亜鉛:牡蠣・赤身肉・納豆・カシューナッツ
  • :赤身肉・レバー(過不足に注意)・ほうれん草+ビタミンC
  • 腎を補う“黒い食材”:黒ごま・黒豆・黒きくらげ、山芋、くるみ
  • 控えたい:深夜の甘い物・揚げ物・アルコール過多(湿熱助長)、冷たい飲料のがぶ飲み

4-4 生活養生:習慣が“毛根の未来”を決める

  • 睡眠:23時前後に就床、6–7時間確保(成長ホルモンの波を味方に)
  • 運動:週2–3回の筋トレ+有酸素(テストステロンと血流をサポート)
  • ストレス設計:深呼吸・散歩・サウナは“ととのう”より整える感覚で
  • 頭皮ケア:熱すぎるシャワー・強すぎるゴシゴシはNG/指腹で優しく
  • 嗜好:喫煙は毛細血管に逆風、飲酒は量と頻度を控えめに

5|タイプ別・最短アクションプラン

  • 腎精不足
    夜更かしをやめ、就寝前スマホ断ち→朝ウォーキング15分。黒ごま+ゆで卵を“朝の定番”に。
  • 血虚/気血両虚
    毎食“手のひら1枚”のたんぱく+汁物で消化を助ける。階段利用&座りっぱなし1時間で立つ。
  • 肝鬱気滞
    1日10分の“何もしない時間”。首肩ストレッチ。夕食は腹七分で寝付き改善。
  • 湿熱
    揚げ物・甘い物・深酒を“平日ゼロ”。シャンプーは低刺激・ぬるま湯、ドライヤーは地肌に直風NG。

個人差はありますが、
頭皮の赤み・ベタつき・睡眠の質の手応えから現れ、

その後抜け毛量→ハリコシ→ボリューム感の順で“土台の変化”を実感しやすくなります。


6|よくある疑問Q&A

Q. いつ受診すべき?
A. 3か月以上の抜け毛増加/急激な薄毛/かゆみ・赤み・フケを伴う場合は皮膚科へ。併せて甲状腺・鉄・亜鉛などの評価も検討。
Q. いつまで続ければ?
A. 髪は“農作物”。畑(土台)を整える→芽が出る→育つ、の順。最低3〜6か月のスパンで考えましょう。
Q. 漢方だけで大丈夫?
A. 体質と生活を整える“土台”づくりに有用ですが、皮膚科治療と併用で相乗的に進めるのが現実的です。


まとめ:髪の悩みは“年齢のせい”で片づけない

薄毛は、AGAというメカニズム(西洋)と、

腎精・気血・肝鬱・湿熱という体質(中医学)、生活習慣が交差していますね。
ポイントは、

  1. まずは何が起きているかを知る(受診・検査)
  2. 生活と頭皮環境を整える(睡眠・栄養・ストレス・ケア)
  3. 体質に合わせて漢方で土台を底上げし、必要に応じて皮膚科治療を取り入れる
    という3本柱。

焦らず、しかし先送りにせず。

今日の一手が半年後の見た目と自信をつくります。
「できることから」で大丈夫。

あなたの髪の“未来予想図”は、ここから描き直せますよ。
一緒に進んでいきましょう。

この記事を書いた人
漢方太郎

薬剤師・中医学養生士

「東洋医学で、毎日をもっとやさしく、心地よく。」
病院薬剤師として10年、調剤薬局で6年の経験を積み、現在は漢方薬局の開局に向けて奮闘中。

中医学や薬膳の知恵を活かして、20〜50代女性の“キレイ”と“元気”を内側からサポートする情報を発信しています。

専門用語もやさしく解説しながら、読んだ人の心と体がふっと軽くなるような発信を心がけています。

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