― 気力・性欲・集中力が落ちてきたときに読む話 ー
【はじめに】
「最近、やる気が出ない」
「集中力が続かない」
「性欲も減ってきた気がする」
それ、仕事や疲労のせいだけだと思っていませんか?
実はその不調、“男性ホルモンの低下”が関係しているかもしれません。
加齢とともにじわじわと進む変化――
放っておくと「なんとなく不調」が日常を支配することに。
今回は、西洋医学と中医学の視点から「男性ホルモンの減少」と心身の関係を解説し、
30代後半から始めたい“男の養生”についてお話します。
【男性にも更年期がある】
女性の更年期についてはよく知られていますが、
実は男性にもホルモンの変化による「男性更年期」が存在します。
医学的には「LOH症候群(Late-Onset Hypogonadism)」
――日本語では加齢男性性腺機能低下症と呼ばれます。
これは、テストステロン(男性ホルモン)の分泌量が年齢とともに減少することで起こる一連の症状です。
【こんな症状、ありませんか?】
LOH症候群に見られる典型的な症状は以下の通りです:
✔︎ 性欲の低下
✔︎ 朝の勃起がなくなった
✔︎ 疲れやすい
✔︎ やる気が出ない
✔︎ 集中力が続かない
✔︎ 眠りが浅くなった
✔︎ イライラしやすくなった
✔︎ 不安感が強くなる
✔︎ 筋肉量の低下
✔︎ 物忘れが増える
「仕事が忙しいから」「年のせいだろう」と見過ごされやすいですが、
検査を受けてみるとテストステロン値が明らかに低下していることも多くあります。
【テストステロンとは?】
テストステロンは、男性らしさを支えるホルモン。
筋肉・骨・性欲・行動力・自信・集中力など、幅広く影響します。
🔹 20代をピークに自然と減少していく
🔹 過度なストレス・不規則な生活でさらに低下
🔹 気力・性欲・集中力の低下として現れる
つまり、“なんとなく不調”の裏に、ホルモン低下が潜んでいるということ。
【西洋医学での治療方法】
男性ホルモンの低下が医学的に確認された場合、以下の治療が行われます:
▶︎ 1. テストステロン補充療法(TRT)
・筋肉注射やジェルでテストステロンを補う
・性欲・元気・集中力が改善されることも
・血栓症や前立腺への影響など、副作用リスクもあるため定期検査が必要
▶︎ 2. 心理療法・カウンセリング
・不安感や抑うつ感を伴うケースでは心のケアも併用
▶︎ 3. 生活習慣の見直し
・十分な睡眠、適度な運動、栄養バランスのある食事
・体脂肪率の改善がホルモン分泌に好影響を与えることも
🔍重要なのは「検査を受けて状態を知ること」。
専門医(泌尿器科や男性更年期外来)での血液検査が治療の第一歩です。
【中医学では“腎”の衰えと考える】
中医学(東洋医学)では、
このような変化を「腎虚(じんきょ)」と捉えます。
“腎”とは単なる腎臓ではなく、
ホルモン・生殖・老化・成長など、生命エネルギーの根本とされる存在です。
【腎虚チェックリスト】
・性欲の低下
・精力の衰え
・足腰がだるい
・耳鳴りや抜け毛
・夜間のトイレが増えた
・不安感・眠りの浅さ
これらが当てはまる方は、「腎精(じんせい)」というエネルギーの貯蔵が不足しているかもしれません。
【漢方と食養生によるアプローチ】
症状や体質に応じて、次のような漢方薬や食習慣の見直しが有効です。
🔸漢方処方
・参馬補腎丸(じんばほじんがん)
→ 腎陽虚タイプに。性欲低下・疲労・元気不足に。
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
→ 気が足りずやる気が出ない、疲れが抜けないタイプに。
・八味地黄丸(はちみじおうがん)
→ 冷え・頻尿・腰のだるさがある場合に。
※実際の使用は専門家による体質判断が必要です。
🔸養生のヒント
・黒ごま、くるみ、山芋、にら、卵、ラム肉など「腎」を補う食材を意識
・夜ふかし、スマホの見過ぎ、過労は控える
・適度な運動(筋トレやウォーキング)でテストステロン分泌をサポート
【まとめ】
30代後半から始まる、体と心の変化。
その背景には「テストステロンの低下」や「腎の衰え」があります。
気力・性欲・集中力の低下を「気のせい」や「年のせい」にせず、
整えるという選択肢を持つことが大切です。
病院での検査も、中医学的ケアも、
どちらもあなたの未来の“元気”を支える手段。
自分の体に、ちゃんと向き合ってみませんか?