― 男性薬剤師が語る、30代から始まる“変化”のサイン ―
【はじめに】
「最近、性欲が減ってきた気がする」
「夜の元気がなくなった…」
「でも仕事も忙しいし、年齢のせいかな…」
そんなふうに、なんとなく感じている不調。
実はそれ、「男性ホルモンの減少」や「中医学でいう腎の弱り」のサインかもしれません。
今回は、30代・40代男性に増えてくる“性”にまつわる変化と、その背景にある体の状態について。
病気ではないけど調子が出ない、そんな「未病(みびょう)」の状態を整えるヒントを、薬剤師・中医学の視点からお届けします。
【変化は突然ではなく、じわじわやってくる】
「30代後半に入ったあたりから、明らかに変わったな…」
僕自身も、ある時ふとそう感じました。
性欲が落ちる
朝立ちがなくなる
夜の持久力が落ちる
気分が乗らない
こういった“なんとなく不調”が、じわじわと自分を包んでいくような感覚。
けれど、これって病気なのか?年のせいなのか?と思って、誰にも言えずにそのままにしてしまう男性が多いのも事実です。
【西洋医学で見る「男性ホルモンの減少」】
男性にも更年期がある――
最近はメディアでも目にするようになってきました。
医学的には「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症)」と呼ばれ、加齢とともにテストステロン(男性ホルモン)が減少することで、以下のような症状が現れます。
✅ 性欲の低下
✅ 勃起力・頻度の減少
✅ 疲れやすさ
✅ 意欲の低下・イライラ
✅ 睡眠の質の低下
✅ 物忘れ・集中力の低下
つまり、「性」の問題は「心」と「体」の問題でもあるということ。
【中医学で見る“性欲の低下”の正体】
中医学では、性機能は「腎(じん)」がつかさどると考えられています。
この“腎”は腎臓のことではなく、ホルモン分泌や生命力、成長・生殖機能などを司る、もっと広い意味のエネルギーシステムです。
特に、以下のようなタイプの方は注意が必要です。
◾️腎虚(じんきょ)タイプ
・性欲減退
・足腰がだるい
・耳鳴りやめまい
・精力減退
・夜間尿が増える
→ 年齢とともに腎の“精”が減り、性機能が落ちやすい状態。
◾️肝鬱気滞(かんうつきたい)タイプ
・ストレスで性欲が落ちる
・怒りっぽくなった
・胸や喉がつかえる感じがある
→ 精神的ストレスが性機能に影響を与えるタイプ。
【そんなときの処方例】
※体質や症状に応じて選びましょう。実際の使用は漢方専門家に相談してください。
🔹参馬補腎丸(じんばほじんがん)
→ 性欲低下・精力減退・疲労感がある“腎陽虚”タイプに。
→ 鹿茸(ろくじょう)・淫羊藿(いんようかく)など、体の火力(陽気)を補いながら性機能を支える生薬が含まれます。
→ 体が冷えやすい、疲れやすい、夜の活力が落ちてきた方に使われます。
🔹八味地黄丸(はちみじおうがん)
→ 腰痛・頻尿・冷えを伴う方に(腎陽虚)
🔹牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
→ むくみ・しびれ・神経痛もあるタイプに
🔹補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
→ 性的エネルギーというよりも“気”の低下に働きかける
【まず見直したい習慣】
漢方だけでなく、生活全体の見直しが重要です。
✅ 寝る直前のスマホやPCをやめる
✅ 過労をためこまない
✅ 肉・卵・黒ごま・山芋など“腎”を補う食材をとる
✅ 週2回以上、軽い運動をする
✅ 性生活のプレッシャーを減らす
(パートナーと正直に話すことも大切です)
【まとめ】
性欲の変化は「老化」だけのせいではありません。
ホルモンや気血のバランス、ストレス、生活習慣など…さまざまな要因が複雑に絡んでいます。
もし、「なんか最近おかしいな」と思ったら、
自分を責めるのではなく、
“整える”という視点で見つめ直してみてください。