生理痛ってなんでなるの?——正しいセルフケア(中医学×現代医学)

女性養生

はじめに

「またあの日が来る…」
カレンダーを見て、ちょっと憂うつ。

大切な予定に重なる、夜中に痛みで目が覚める、薬に頼りすぎるのは不安——そんな“あるある”を、きっとあなたも知っています。

生理痛は“からだのしくみ”がつくる合理的な反応で、

しくみがわかれば、対策は選びやすくなります。

「なぜ痛いのか」を理解できるようにまとめました。

あなたの毎月を少しでも軽くするお手伝いができたらうれしいです。

まずは、“なぜ痛い?”の答えから一緒に見ていきましょう。


結論

  • 痛みの正体は、子宮が強く縮む+血流が下がることで生まれる痛み信号の増加
  • 早めの鎮痛対策・温め・こまめに立つ・ゆっくり吐く呼吸・睡眠が“理由のある”行動。
  • 中医学では滞り/冷え/不足/余分を整える。体質に合うケアを選ぶと続けやすい。
    ※激痛・不正出血・日常に支障がある時は受診を。

痛みのしくみをやさしく(現代医学)

①子宮は「筋肉の袋」

生理のとき、子宮の内側(内膜)がはがれて経血として外へ出ます。このとき働く“合図役”がプロスタグランジン(PG)

  • PGが多い → 子宮がギュッと強く縮む → 子宮の血管も細くなる酸素不足(虚血)痛み信号が増える
    イメージ:ボールを強く握り続けると手が痛くなるのと同じ。

②もう1つの悪循環

  • 出にくい(血の塊が多い/便秘でお腹の圧が高い/同じ姿勢で固まる)
     → 子宮の内圧↑PGがさらに出やすい痛みアップ
  • 痛い→緊張→手足が冷える→さらに血流が下がるというストレスのループも痛みを強めます。

用語ミニ解説
PG:子宮を縮める合図。
虚血:血流が減って酸素不足。
交感神経:緊張モード。副交感神経:リラックスモード。


だから、こうする(仕組み→対策の一直線マップ)

① PGが多い/縮みすぎ

  • “早めの”鎮痛薬(NSAIDs)※要相談
    PGを作る酵素(COX)をブロックして起点から鎮める。**痛みが強くなる前(兆し段階)**が合理的。
  • 腹部・腰の温め
    → 筋のこわばりをゆるめ、血流↑→酸素不足↓

② 血流が下がる(冷え・緊張)

  • ぬるめ入浴15分/湯たんぽ・腹巻
    → 末梢血流を上げ、緊張モードをオフ。
  • “ゆっくり長く吐く”呼吸×1分を数回
    → 副交感神経が働き、血管がひらきやすくなる

③ 出にくい(内圧↑・固まり)

  • 60分に1回は立つ+骨盤回し1分
    → 固まった骨盤周りをほぐし、内圧の悪循環を断つ
  • 便通の土台づくり(水分・食物繊維・適度な油)
    お腹の圧を下げる

④ くり返す強い痛み/避妊も希望

  • ホルモン療法(低用量ピル・子宮内システム等)※医師と相談
    子宮内膜を薄くしてPGの材料を減らす方向。長期的な痛み対策の選択肢。

中医学の見立てで選びやすく(体質×具体行動)

痛み=滞り/冷え/不足/余分のバランス崩れ。下のセルフチェックは目安です。

セルフチェック

  • 滞り(気滞・血瘀):張る痛み/血の塊/イライラ・胸脇のつかえ
  • 冷え(寒凝):温めると楽/冷えると悪化/手足が冷たい
  • 不足(気血両虚):だるい・めまい/顔色が白い/量が少なめ
  • 余分(湿熱):重だるい/ねばつき感/油物・甘味が多い

タイプ別の“これだけは”

  • 滞り(気滞・血瘀)
    • 行動:長く吐く呼吸+20分の早歩き
    • 食の指針:香りでめぐりを助ける(陳皮・しそ・黒酢・玉ねぎ・カカオ70%)
    • 漢方の例桂枝茯苓丸/桃核承気湯/芎帰調血飲第一加減/加味逍遙散(※一般名の例。専門家に相談)
  • 冷え(寒凝)
    • 行動ぬるめ入浴15分+腹巻/冷たい飲食を控える
    • 食の指針:温性中心(生姜・ねぎ・なつめ・鮭・羊肉)
    • 漢方の例温経湯/当帰四逆加呉茱萸生姜湯
  • 不足(気血両虚)
    • 行動日付が変わる前に就寝/朝は軽くでも食べる
    • 食の指針たんぱく質・鉄・ビタミンB群を毎日コツコツ(魚・卵・豆、赤身肉、納豆・玄米 など)
    • 漢方の例当帰芍薬散/小建中湯/(状況により)十全大補湯
  • 余分(湿熱)
    • 行動“半分ルール”(揚げ物・甘味・アルコールはまず量を半分に)
    • 食の指針:軽やかに(はとむぎ・とうもろこし・春雨・きのこ・ゴーヤ)
    • 漢方の例竜胆瀉肝湯/温清飲

漢方の記載は一般名の例です。同じ“生理痛”でも人により異なります。

自己判断での継続服用は避け、必ず医師・薬剤師にご相談ください。


今日からの実践スケジュール(生理1〜2日目)

  • :白湯 → 長く吐く呼吸1分腹部を温めながら軽いストレッチ
  • 日中60分に1回は立つ/可能なら10〜15分の早歩き/冷たい飲み物は控える
  • ぬるめ入浴15分 → 就寝時間はいつも通り・できれば早めに
  • :使うなら**“痛みの兆し”のうちに**(用法・用量は要相談)

⚠️鎮痛薬の“使い過ぎ”に注意⚠️

鎮痛薬は正しく使えば強い味方。一方で、過度の使用はデメリットがあります。

  • 妊娠・授乳:妊娠期(特に後期)は胎児の血管への影響が知られるため、自己判断での使用は避ける
  • 胃腸への負担:胃痛・胃炎・潰瘍・出血のリスク(空腹時・飲酒併用に注意)。
  • 腎臓・血圧:長期・高用量は腎機能の負担血圧上昇につながることがある。
  • 出血リスク抗凝固薬・抗血小板薬・一部の抗うつ薬(SSRI等)との併用で胃腸出血リスク↑
  • アレルギー・喘息アスピリン喘息など体質によっては発作誘発の可能性。
  • アセトアミノフェン過量:NSAIDsではない解熱鎮痛薬でも過量は肝機能障害のリスク。総合感冒薬との重複に注意。
  • サイン隠し子宮内膜症・筋腫など病気のサインを薬で上書きし、受診が遅れることがある。

控えめに使うコツ

  • 最大用量は守る/最短期間で
  • 月経ごとに“いつ・何錠”使ったかメモする(使用量の見える化)。
  • 「毎周期、強い痛みが2〜3日以上続く」「月に10錠以上必要」「効きにくくなってきた」などがあれば、婦人科を受診し、原因評価と治療選択肢(ホルモン療法等)を相談。

よくある質問

Q. 鎮痛薬は悪いですか?
A. 必要なときに“正しく早めに”使うのは有効な選択肢。ただし使い過ぎは上のリスクがあるため、最小限・最短期間を意識しましょう。

Q. 生理中の運動は?
A. 軽い運動(早歩き・ストレッチ)ならOK。血流が上がり、緊張がほぐれやすくなります。

Q. 食事は何を意識すれば?
A. たんぱく質・鉄・ビタミンB群を毎日コツコツ。冷たい飲み物のとり過ぎは控えめに。

Q. 受診の目安は?
A. 激痛/不正出血/量が極端に多い・周期が乱れる/薬が効きにくい/性交痛などは婦人科へ。


受診の目安

  • 突然の強い痛み発熱・吐き気が続く
  • 不正出血、経血量が極端に多い周期の大きな乱れ
  • 薬が効きにくくなってきた性交痛がある、日常生活に支障
    我慢せず婦人科に相談を。子宮内膜症・筋腫など“二次性”の痛みの可能性もあります。
    ※漢方の利用は、医師・薬剤師に相談のうえで。

まとめ

生理痛は、

PGが増える→子宮が強く縮む→血流が下がる→痛み信号が増えるという、

からだの“仕組み”が作る流れから生まれます。

だからこそ、早めの鎮痛薬の適切使用(専門家に相談)・温め・こまめに立つ・ゆっくり吐く呼吸・十分な睡眠といった基本の一手が、理屈に合ったケアになります。


同時に、からだは一人ひとり違います。滞り/冷え/不足/余分のどこが強いかは人それぞれ。

できることを一つずつ積み重ねていけば、「来月の痛み」は今よりコントロールしやすくなるはずです。つらい日は無理をしないで、受診という選択もためらわないでください。
もし今日、この文章の中から一つでもやってみようと思えることが見つかったなら、それがあなたのスタートです。

あなたのペースで大丈夫。

痛みと上手に付き合う力は、少しずつ、確実に育っていきます👍

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