はじめに
「最近、なんだか体がだるい…」
そんな声をよく聞くようになるのが夏。
強い日差し、寝苦しい夜、そして冷房の効いた室内との寒暖差。
実はこれらが、知らず知らずのうちに“気(エネルギー)”と“水分”を消耗させ、夏バテの原因になっているのです。
この記事では、中医学の知恵をもとに「夏の養生法」をわかりやすく解説。
季節の流れに沿って、自分らしい健やかさを取り戻すヒントをお届けします。
【中医学で見る「夏」と“心”の関係】
中医学では、自然界の流れと体のリズムはつながっていると考えます。
四季それぞれに“養生すべき臓”があり、夏は「心(しん)」を整えることが大切だとされています。
五臓と季節の関係
季節 | 関連する臓 | 主な働き | 出やすい不調 |
---|---|---|---|
春 | 肝(かん) | 気の巡り・感情の調整 | イライラ・目の疲れ・生理不順 |
夏 | 心(しん) | 血の循環・精神活動 | 不眠・動悸・メンタルの乱れ |
長夏(梅雨) | 脾(ひ) | 消化・吸収・水分代謝 | 胃もたれ・むくみ・疲れ |
秋 | 肺(はい) | 呼吸・免疫・肌の潤い | 空咳・乾燥・肌荒れ |
冬 | 腎(じん) | 生命力・ホルモン・骨 | 冷え・頻尿・老化の加速 |
なぜ夏は「心のケア」が必要なの?
- 夏は「火」の季節。心も「火」に属するため、暑さの影響を受けやすい
- 汗とともに「血」や「潤い」が消耗しやすく、心神(しんしん)が不安定に
- 精神の疲れ・不眠・気力の低下・落ち込みなどが起こりやすくなる
【あなたにもあるかも?「心の疲れ」のサイン】
- 理由なく落ち込む
- 気分が不安定になる
- 眠れない、夜中に目が覚める
- 動悸がする・胸がソワソワ
- 集中力が落ちる・涙もろい
- やる気が出ない、ため息ばかり
これらは「心神の乱れ」や「潤い不足」など、夏特有の不調が関係しているかもしれません。
【今日からできる!夏の養生習慣】
1. 朝は白湯でスタート
やさしく胃腸を起こし、内臓のめぐりを整えます。
2. 体を冷やしすぎない
冷たい飲み物・生野菜のとりすぎで、内臓が冷えてだるくなります。
3. 気と潤いを補う食材をとろう
食材 | はたらき |
---|---|
スイカ | 体の熱を冷まし、潤す。利尿作用もあり。 |
トマト | 涼性で熱をさまし、消化のサポートにも◎ |
緑豆 | 解毒・熱を冷ます。スープやお粥にもおすすめ |
はちみつ | 潤い補給&疲労ケアに |
なつめ・蓮の実 | 心を落ち着かせ、安眠にも |
4. 養心(ようしん)茶で夜ケア
夏は「陽の気」が最も強まる季節。
体が“興奮モード”になりやすく、夜になっても交感神経がオフにならず、眠りが浅い・寝つけない・夢が多いといった不眠傾向が強まります。
中医学では、心の働きが乱れて「心神(しんしん)」が安定しないと、精神が落ち着かず眠れなくなると考えます。
だからこそ、寝る前の“心を落ち着かせるお茶=養心茶(ようしんちゃ)”が効果的です🌿
おすすめの養心茶ブレンド
《心を落ち着ける・よく眠れる》組み合わせ
材料 | はたらき |
---|---|
なつめ(3個) | 血を養い、心を落ち着ける。甘くて飲みやすい |
蓮の実(10粒) | 心神を安定させ、安眠を助ける |
百合根(小さじ1) | 潤いを与え、イライラ・不安を鎮める |
菊花(2〜3輪) | 頭の熱を冷まし、目や脳の疲れにも◎ |
作り方(マグカップ1杯分)
- なつめは半分にカット(種ありOK)
- 材料すべてを耐熱ポット or 鍋に入れ、お湯300mlを注ぐ
- 5〜10分煮出す or 蒸らす
- 寝る1時間前に、温かいうちにゆっくり飲む
ワンポイント:
- 飲みながら深呼吸を3回するとより効果的
- 材料が揃わないときは「なつめ+お湯」だけでも◎
- 甘みが自然に出て、ノンカフェインで安心です
こんな人におすすめ
- 不安や緊張で眠れない
- 夢をよく見る・眠りが浅い
- 日中イライラしやすい
- 寝ても疲れが取れない
【10分でできる薬膳レシピ】
薬膳トマトと緑豆の冷製スープ
材料(2人分)
- 緑豆(戻したもの)…大さじ2
- トマト…1個(角切り)
- 昆布だし…400ml
- 塩…少々
- はちみつ…小さじ1(好みで)
作り方
- 緑豆を柔らかく煮る(10分)
- トマト・昆布だしを加え、さっとひと煮立ち
- 塩とはちみつで味を調えて冷蔵庫で冷やす
※冷えが強い方は常温で食べてもOK!
【まとめ・やさしい背中押し】
夏は、がんばりすぎないことがいちばんの養生。
身体と心に熱がこもりやすい時期だからこそ、
「潤す・ととのえる・やすめる」意識をもって過ごしてみてくださいね。
💡できることから少しずつで大丈夫。
あなたの“夏のご自愛ルーティン”が、きっと未来の元気を守ってくれます。
📌「保存して、疲れたときに読み返してね」