効果は良好!でも要注意な漢方薬:守るべき用量と潜むリスク

中医学

【要点】

  • 漢方薬の使用に注意
    自然由来の漢方薬は安全と思われがちですが、過剰な用量や長期服用にはリスクが伴います。
  • 注意が必要な生薬
    麻黄、甘草、附子、大黄、山梔子(さんしし)は、過剰摂取や誤った使い方で副作用が発生する可能性があります。
  • 正しい使い方の重要性
    専門家の指導を受け、体質や症状に合った適切な処方と用量を守ることが、安全で効果的な使用に繋がります。

1. 天然成分でも注意が必要な漢方薬

漢方薬は「自然由来」であるため、

比較的安全に使えると考えられることが多いですが、

全ての生薬が無害というわけではありません。

特に、用量を超えて摂取したり、長期間使用した場合、副作用が出ることがあります。

漢方薬の正しい効果を得るためには、

体質に合った適切な処方を守り、用量の管理が非常に重要です。

自己判断での服用は避け、必ず専門家の指導を仰ぐようにしましょう。


2. 過剰摂取に注意が必要な生薬とそのリスク

1. 麻黄(まおう)

麻黄は、気管支拡張や発汗を促す作用があり、風邪の初期や喘息などに効果を発揮します。しかし、強力な交感神経刺激作用を持つため、過剰に摂取すると次のようなリスクがあります。

  • 心臓や血圧への影響:麻黄は心拍数を増加させ、血圧を上昇させるため、心疾患や高血圧の方には危険です。頭痛や動悸、めまいなどが現れることもあります。
  • 不眠や興奮:刺激が強すぎることで、不眠症状や神経過敏を引き起こすことがあります。

2. 甘草(かんぞう)

甘草は、鎮痛・抗炎症作用を持ち、風邪や消化不良などに広く使われますが、グリチルリチン酸という成分が過剰に摂取されると副作用を引き起こす可能性があります。

  • 偽アルドステロン症:ナトリウムが体に溜まりやすくなり、むくみや高血圧、筋肉の脱力感が出ることがあります。
  • 低カリウム血症:カリウム不足が起こり、筋力低下や不整脈が発生するリスクがあります。

3. 附子(ぶし)

附子は、冷え性や関節の痛みに効果がありますが、毒性を持つ生薬でもあります。適切に調整されないと、以下のような中毒症状が発生することがあります。

  • 中毒症状:誤って過剰に摂取すると、しびれ、吐き気、心臓の異常(不整脈など)を引き起こす可能性があります。

4. 大黄(だいおう)

大黄は、便秘の改善に効果がある生薬で、消化器系に強い刺激を与えます。しかし、過剰に摂取すると強力すぎる下剤作用が働き、体に負担をかける可能性があります。

  • 下痢や腹痛:用量を超えた摂取により、激しい下痢や腹痛が生じることがあります。また、長期的な使用で腸が弱くなるリスクもあります。
  • 低カリウム血症:長期間使用することで、体内のカリウムが不足し、脱力感や不整脈を引き起こす恐れがあります。

5. 山梔子(さんしし)

山梔子は、炎症を抑え、発熱や頭痛を和らげる作用がある生薬です。しかし、過剰に服用すると胃腸への負担が大きくなり、次のような副作用が出ることがあります。

  • 消化器障害:胃痛や下痢など、消化器系に負担をかけるため、消化不良を引き起こすことがあります。
  • 低血圧:山梔子は血圧を下げる作用があるため、もともと低血圧の方が過剰に摂取するとめまいや立ちくらみを感じることがあります。

3. 漢方薬を安全に服用するためのポイント

1. 専門家に相談する

漢方薬は、個々の体質や症状に合わせて処方されるものです。

自己判断で服用するのは避け、必ず漢方医や薬剤師に相談してから使用するようにしましょう。

特に、上記の生薬を含む漢方薬は、体質や健康状態によってリスクが異なるため、専門家の指導を受けることが重要です。

2. 用量と使用期間を守る

長期間使用し続けると体に負担がかかる生薬もあります。

漢方薬を服用する際は、医師の指示通りの用量を守り、定期的に見直しや診断を受けることが大切です。

体調に変化が現れたら、すぐに専門家に相談しましょう。

3. 他の薬との併用に注意する

漢方薬は西洋薬とも併用することが多いですが、

成分によっては相互作用が起こり、薬効が強まったり副作用が増大する可能性があります。

特に、血圧の薬や利尿剤、心臓の薬を使用している場合は、漢方薬との併用に十分注意しましょう。


まとめ

漢方薬は、

自然由来の成分を使用した伝統的な治療法ですが、

適切な用量を守らないと体に悪影響を与えることがあります。

特に、麻黄、甘草、附子、大黄、山梔子といった生薬は過剰摂取や長期使用により、心臓や消化器系に負担をかけるリスクがあります

安全かつ効果的に使用するためには、

専門家の指導を受け、自分の体質や症状に合った適切な処方を守ることが最も重要です

タイトルとURLをコピーしました